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今回紹介する作品は、先日見事に大円団を迎えた「海賊戦隊ゴーカイジャー」。
 
 
一言で言えば、「スーパー戦隊系」と聞かれれば、「子供向けで乱雑な物」というのが世間一般の認識のようで、中途半端に特撮見てる大人達も「ライダーの余興」程度の認識でした。
 
しかし、世間に浸透したその愚考を見事に一掃してくれる作品だったように思います。
 
 
 
 
とりあえず、簡単に作品紹介を。
 
 
 
宇宙の全てを我が物にしようとする宇宙帝国ザンギャックの大艦隊が地球を襲撃した。地球の平和を守るために立ち上がったのは、数々の悪から地球を守り続けてきた、34のスーパー戦隊たちだった。
戦いの末、ザンギャックに勝利したスーパー戦隊たちだったが、代償として戦う力を失い、その力はレンジャーキーと言う鍵となって宇宙へ散らばってしまった。彼らはやがて伝説の存在になり、この戦いは後にレジェンド大戦と呼ばれるようになった。
そのレジェンド大戦から数年後。地球に眠るという宇宙最大のお宝を求めて、海賊戦隊ゴーカイジャーと名乗る5人の宇宙海賊が地球に訪れた。お宝を探して地球を散策する5人だが、時と同じくしてザンギャックが地球への再侵攻を開始。ザンギャックの非道なふるまいが気に入らない5人は、勢いで戦いを挑む。
宇宙最大のお宝を探すため、ザンギャックとの正面衝突を覚悟しながらも地球に留まることにしたゴーカイジャーたちだが、彼らにはザンギャックと戦い、地球を守る義理など一切ない。そんな彼らは地球に住む人々や、歴代スーパー戦隊メンバーのレジェンドとの出会いを通して、少しずつ地球の「守るべき価値」を見出していく。
 
 
 
 
今作は「スーパー戦隊35周年記念作品」であり、「今までの戦隊が登場するお祭り作品」となっています。
 
まぁ、「集合」にしては「35」という数字は少々区切りが悪いんですがねw
 
 
 
まず、この作品の最大の特徴は2つあって。
 
1つは彼らが今まで地球を守ってきた34のスーパー戦隊に姿を変えれる事。
 
もう1つは彼等の初期メンバーは全員「宇宙人」であり、今回初めて地球という惑星にやってくること。
 
 
 
特撮において大事な要素の一つに「どうその作品のインパクトを決定づけるか?」にありますが、ゴーカイジャーはこの2つが絶対にぶれなかった作品の魅力であり特徴であったと思います。
 
 
 
基本的な目的・・・というか話を大まかに説明すると、ザンギャックを追い払った大戦争・・・すなわち「レジェンド大戦」で力を使い果たした34のスーパー戦隊の変身能力は「レンジャーキー」という鍵状の物へ変化し、それが宇宙へと散らばるわけです。
 
それを拾ったのはまだ「海賊戦隊」結成前のゴーカイレッドが乗船していた船の船長で、と。
 
このレンジャーキーは、使ったものをその戦隊へと変身させる役割を持つのですが、それはただ単に姿や能力・技が同じなだけであり、その力の根源は「大いなる力」として、その戦隊ヒーローとして返信して戦っていた本人たちの中に宿っており、認められたり和解したりするとその戦隊の「大いなる力」を入手するという仕組み。
 
そしてその大いなる力を全戦隊分集めると、彼らが捜している「宇宙最大のお宝」への突破口が見えてくるわけです。
 
 
レジェンド戦隊に変身する事を「ゴーカイチェンジ」と呼び、大いなる力を発動させるには、そのレジェンド戦隊のレンジャーキーを力が宿った状態で鍵穴に挿す必要があります。
 
 
 
このゴーカイジャー、一聞すると「仮面ライダーディケイド」の戦隊版パロディのように思えますが、しっかりその出演当時のオリジナルキャストが出てきて、レジェンド戦隊の「その後」が描かれていたり、レジェンド戦隊がゴーカイジャーを「後輩」として激励する場面が見られたりと、歴代ライダーを出してその上歴代を散々汚した醜悪なカリカチュアまで堕ちた「ディケイド」とは、それこそ天と地の差があるのですが、「元ネタ」としては、やはりディケイドが根底にあると思われます。
 
う~ん、やはり仮面ライダーとスーパー戦隊とでは基本フォーマットに掲げているのは戦隊の方が素材良いのだろうか。
 
歴代戦隊へのリスペクトっぷりが半端ないです。
 
 
また、レジェンド戦隊が関連していない話でも細かいネタが出てきたりして、ニヤニヤさせられますねw
 
例えば1話で出てきたマーベラスたちが食事をしようとして間もなくぶっ壊される事となるカレー屋の「スナックサファリ」は、「太陽戦隊サンバルカン」で毎回登場していたレギュラーのお店ですし、タイムレンジャーのレジェンド回でゴーカイジャー達が遭遇した母子が「タイムイエロー」のドモンの恋人だったり、最終回1話前で前作「ゴセイジャー」のお世話係だった天知博士、「マジレンジャー」で魁の同級生だった山崎さん登場など、戦隊ファンなら「おおっ!」と思わせられる要素も多数散らばっています。
 
 
更に、34のスーパー戦隊もオリジナルキャストは全戦隊分登場し、「歴代作品のヒーローが全員1つの作品に出てくる」という、35周年に恥じない大盤振舞いも見られました。
 
 
 
 
しかし、難点としては、34の大いなる力のうち、いくつかは映画の方に回されてしまったのは少々残念ですね。
 
まぁ、1年で34個も話割いてられないのですが、何かとメッセージ性高かったり、重要度の高い戦隊が映画に回されていたのはやっぱり痛手ですね。
 
おま、ゴレンジャーとゴセイジャーは本編でやんなきゃダメだろうwwww
 
 
 
 
 
 
そして、これだけのお祭り要素を掲げときながら、メインとして描かれているのは、やはり「ゴーカイジャーとしての」エピソードなんですよね。
 
お祭り作品と言えば、ウルトラマンはメビウス、仮面ライダーはディケイドと来ますが、ディケイドは論外と考えても、メビウスも良く見ると実は「ウルトラ兄弟が出演する」という要素を欠いて視聴したとすれば、他の平成作品と比べて話が若干薄っぺらい傾向にあるんですよね。
 
元々「ウルトラ兄弟がいた世界と繋がった世界観で作品を作る」というスローガンで作ってたから大ヒットしたわけで、そうでなかったら「・・・で?」ってなってたわけですよ。
 
 
 
そういう意味でゴーカイジャーはお祭り作品の中では唯一「単品作品としても成功していた作品」だったと思います。
 
そもそも、「何で全戦隊が集合する作品なのに、主役が海賊なの?」とかマジに思っちゃいましたからねw
 
 
 
この5人は「宇宙人」だったから話に深みが生まれたわけで、もしこれが地球人だったら、それこそただの「戦隊版ディケイド」の汚名を被る事になっちゃたと思います。
 
彼等はレッドが元々海賊だった、という以外では全員海賊とはほとんど無縁の宇宙人ですが、全員悲しい過去や果たせねばならない因縁を持っていて、それが徐々に1人ずつ浮き彫りにされていきます。
 
 
 
 
過去の因縁や辛い過去を5人が持っていて、それを「自由を求める海賊」として宇宙を旅するなんて、それこそロマンにあふれるではありませんか!
 
 
また、彼等は戦隊史上恐らく最初で最後の「1話の時点ではまだ正義のヒーローではない」スーパー戦隊だった事も印象的です。
 
「悪の組織と戦う事を目的としない」戦隊は、私の大好きなボウケンジャーがそれこそ当てはまるのですが、ボウケンジャーはプレシャス保護の為に遅い来るネガティブシンジゲートを薙ぎ払ったりするするんどえすが、ゴーカイジャーの場合は完全に「お宝を探しに地球に来た」のであり、1話では「この星もザンギャックに滅ぼされる」などと前代未聞な事を口走ります。
 
しかし、やっぱり悪ぶってはいても弱い物を虐殺したり残忍な行為を働く者に対しては「気に入らないモンはぶっ潰す」と、銘打ってはいないものの、悪を許さないという点では同じなんですけどねw
 
 
 
また、彼らは「宇宙人」なので、この星に関する知識も、スーパー戦隊の事に関しても全く知識がない所から始まるのも面白いポイントだったと思います。
 
Wikiの説明にもありますが、地球人と触れあいながら、地球について知っていくこと、レジェンド戦隊から「ヒーローとは何か」を教えられる彼らの成長が、本作の2大見所ではないかな?と。
 
 
 
 
 
私が戦隊の中で一番好きな作品は「鳥人戦隊ジェットマン」なんですけど、そのジェットマンの設定もしっかり生かされていたのには涙目でした。ちゃんとブラックコンドル死んでるわ・・・。
 
 
 
 
 
 
 
でも、やっぱりここまでお祭り要素満載の作品でも、若干不満はあるのですよ。
 
 
1つ目は敵組織の魅力の無さでしょうか。
 
初期メンバーから明らかに「やっつけ」な宇宙帝国ザンギャック。
 
ヒーロー物はヒーローにかっこいいことを言わせる、やらせるも大事ですが、敵にもカリスマ性があったり、主人公と同じくらいスポットが当たってなきゃダメだと思うんですよ。
 
それに比べてこのザンギャックは、明らかにゴーカイジャーに倒されるためだけに存在しているように思います。
 
ライダーと違って戦隊はメインターゲットは子供と一緒に見る親ですから、悪役は怖く分かりやすい方が良いんでしょうけど・・・。にしてもこれはやり過ぎwちっとも敵側に魅力を感じませんw
 
中盤で出てくるバスコ・ダ・ジョロキアはライバル系キャラかと思いきやただの外道な野郎でしたし、後半で退場する戦闘力皆無の司令官ワルズ・ギルも「馬鹿息子」の汚名返上の為に何かするかと思いきや、海賊たちに一度勝ったくらいで大はしゃぎ、2戦目であえなく敗退という厨ニキャラ、ダマラスも地味なイメージが強く、どれも明らかにキャラ付けが適当過ぎですw
 
1番酷かったのは息子であるワルズ・ギルの敵討ちの為地球にやってきた皇帝のアクドス・ギルで、後半はバスコ戦メインであったため殆ど登場せず。登場したとしても指令席で腕組みしてるだけのほぼ要らないキャラです。
 
かといって皇帝放置でスポットが当たり続けているバスコも、悪のカリスマどころか外道要素全開w何の為に皇帝空気にしてまでお前出てきてんだよ・・・w
 
そんな皇帝がバスコが倒された瞬間ゴーカイジャーにとってのラスボス化するのですから、もはやギャグとかそういうレベルじゃありませんねw
 
唯一可能性あった皇帝に仕えるザツリグとダイランドーも、ザツリグは魅力出せないまま1話で敗退、ダイランドーも居なくて良いキャラでしたし・・・。
 
 
今年は戦隊お祭り作品でしたが、どうか敵サイドのスポットの当て方は工夫してほしかった気がします。
 
 
 
前々作の「シンケンジャー」の血祭ドウコク、前作「ゴセイジャー」の救世主のブラジラが凄く魅力的だったので、この劣化は残念です。
 
ゴーカイジャーはヒーロー物見始めて初めて「敵側に好きなキャラが1人もいない作品」になっちゃいましたし・・・。
 
 
 
 
 
 
もう一つは追加戦士であるゴーカイシルバーの異常プッシュ。
 
彼は唯一の「地球人」で、本来は宇宙人の中に紛れ込んだ地球人、という設定だからこそドラマが生まれるはずなのに、そんなことは無く・・・。
 
酷いのはそんな事じゃない、猛プッシュだ。ガレオンバスターが出るまでトドメはずっとシルバーの必殺、完全豪快王出るまで必殺はシルバーのロボ。おまけに厨ニ。
 
そして最終回、まさかの皇帝との一騎打ちはレッドと他の4人ではなくシルバー。トドメにガレオン持つのもシルバー。しかも唯一シルバーだけ強化形態有り。お前いい加減にしろ・・・。
 
でも、全く戦隊に知識がないゴーカイジャーへの「ナビゲート役」として戦隊オタクを追加戦士にしたのは良策だったと思います、レジェンド戦隊とゴーカイジャーの接点が増えた気がして。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
とにかく、若干欠点はあったものの、素晴らしい作品だったと思います。
 
ラストはまさかのアカレンジャー・海城剛でシメ〆とか!
 
 
 
まだ観ていない方は、是非DVDで見てみて下さい。
 
 
それでは!