さて、ウルトラマンシリーズが全体的に盛り上がる7月に、遂に登場しましたSHFウルトラマンティガ!!
なんとウルトラアーツ初の真骨彫名義での発売となります。
パッケージ。
真骨彫製法なので、当然これまでとは違う雰囲気のパッケージになります。
付属品一覧
・ウルトラマンティガ マルチタイプ本体
・オプションハンド×6
・交換用カラータイマー×1
・ゼペリオン光線エフェクトパーツ×1
エフェクト系がゼペリオン光線パーツしか無いのは寂しいですが、手首が非常に豊富で好印象。
ACT時代にあった溜めエフェクトやシールドなどがオミットなのはちと寂しい。
というか後述しますが、交換用のプロテクターを付属させないのはマジで愚行だと思います。
初回特典でブックレットが付属。
関係者のインタビューが読めますがここでは割愛。
「これが答えなのか!?みんなが好きだから……みんな仲間だから!」
ウルトラマンティガです。
「ウルトラマン80」までのいわゆる「M78星雲からやってきた使者」という設定から離れ(レオは出身地が違うけど同一世界観だった、ザ☆はアニメだったことを除けば、特撮作品として世界観を切り離した初の例)、「ウルトラマン自身の自我が完全に人間側にある」としたまったく斬新なウルトラマンです。
もともとは宇宙から来た光の存在ではあるのですけど、その本体は既に星雲に帰ってしまっているため、力の使い方自体は光の力を手にする人間に委ねられているという点が最大の特徴。
完全新生とは言っても話の作り自体はオムニバス路線で、正直蓋を開けてみればこれまでウルトラシリーズといい意味で変わらない構成だと思います。
ただティガの場合は出自が「ダイゴ隊員が光となり古代から蘇った巨人」なので、これまでと構成上違うところがあるとすれば、全編通して「ウルトラマンの本質は人の光である」と強調したところですかね。これは出自が完全に宇宙人という人を超越した存在であった昭和シリーズではできなかった作劇だと思います。
正に温故知新な作品ですね。
デザイン自体は頭部を「削る」という着想から始まり、銀以外だと赤と紫がバランスよく体色に取り入れられた斬新なデザイン。
これは新たな要素である「タイプチェンジ」を視覚的に分かりやすくしたものです。赤特化のパワータイプや紫特化のスカイタイプは出るのでしょうか。
1つ1つのエピソードは非常に完成度が高く、特に「怪獣とはコミュニケーションはとれるけど根本的な価値観が違う」と謳った第6話「セカンド・コンタクト」、ある意味でウルトラマンと同じ異能の力を持っているにも関わらず、ティガだけが称賛されていることに疑問を持った青年の心の変化を描く第39話「拝啓ウルトラマン様」は管理人の大好きなエピソードです。
・・・・・が!このティガ、「大人の事情」という最大の敵により、レンタル屋でレンタルするか、Bru-rayやDVDを購入するかでないと視聴することができません。
別にそんなに視聴ハードルが高いとは思わないのですが、サブスクの普及が当たり前になった今ではやっぱり他作品に比べて見る条件がやや厳しめなのは確か。
「平成ウルトラマン」の第1作目として後の作品にも多大な影響を与え、ウルトラマンシリーズの中でも飛びぬけた人気を誇るキャラクター及び作品ですが、今回やっと「ウルトラアーツ」でラインナップ入りを果たしました。
しかもウルトラマンシリーズ初の真骨彫ブランド。2014年のカブトから始まり、ライダー(と牙狼)ではお馴染みでしたが、ウルトラは元々がLSS監修ということであまり不必要な冠だと思ってましたが、出すのか・・・・・。
今回はスーツアクター、権藤俊介氏の体型を劇場版「ファイナルオデッセイ」基準で限りなくスキャンしたということで気合いが大分違います。
上記写真で見る限り、素立ちでのプロポーションは悪くありません。
しかしこの中に良くも悪くもかなりのギミックが内蔵されています。
それでは見ていきましょう。
上半身。
特に言うこともなく、かなり忠実にスーツを再現できていると思います。
ULTRA-ACT(2014年8月リニューアル版)→(http://chaserjoker.livedoor.blog/archives/4829750.html)と比較。
何度も言いますがACTとSHFはそもそもの目指している方向性が違うので、比較して「SHFの方が出来がいいですね」なんて言うのは野暮というもの。
ただそれを差し引いても今回の真骨彫版はすごい完成度です。
後述しますが、可動範囲は実はACTの方が上だったりします・・・。
今回は実はこのACT版の構造を見習うべき箇所が多い。
特徴の一つとして、今回はなんと腹から腰にかけての胴体パーツが丸々軟質パーツになっていることが挙げられます。
これに関しては発売前から賛否両論で、私は実は(破損や劣化しやすいのではという危惧もあって)否定寄りでした。
しかし実際に触ってみるとこのパーツが想像以上に使い勝手が良いことに気付き・・・。
このパーツが軟質なことによって普段のSHFよりも可動の自由度がかなり増します。
本来の可動部位に加えて(軟質なことにより)腹の中央部も曲がるので、前屈みなポーズが取らせやすくなっております。
発売前に危惧していた破損や劣化に関しては現時点では正直判断できません・・・。
腕の可動に合わせて、今回はプロテクターも軟質となり、腕の可動の干渉対策に対応。
プロテクターが曲がることによって腕の可動範囲を妨げずスムーズに可動できます。
・・・と、思いきや・・・?
しかし!!これがあるにも関わらず大して腕が可動しません!!おい!!
可動しないというか、やっぱり干渉しまくるせいで思ったように腕を前に持ってこれない。
特徴的なタイプチェンジ前の腕のクロスがこのとおりなんとも微妙なポーズに・・・・・。
ULTRA-ACT版ではプロテクターが横に可動する+交換用プロテクターを採用した仕組みだったので、腕がスムーズに可動したものが、今回は干渉しまくるせいでストレスマックス仕様です。
そして更に最悪なのが、無理に可動させると軟質プロテクターと腕が密接に触れ合ってしまうせいで、画像のように塗装が剥がれてしまうこと。
正に「泣きっ面に蜂」状態ですよこれ。
この「腕を思い切り前に持ってくる」代表的なポーズはやっぱり「ゼぺリオン光線」なので、つまりゼぺリオン光線ポーズ(や、タイプチェンジ前のクロスポーズ)をとらせる度に凄まじいペースで劣化していくということ。
ウルトラマンのフィギュアで光線ポーズ取らせられないって、致命的なのでは。
・軟質にしても結局腕の可動干渉は抑えられず、腕を前に持ってこれない。
・それのせいで擦れて塗装が剥げてしまう。
この2点、どちらもULTRA-ACT版を参考にして「交換用プロテクター」を採用すれば確実に防ぐことができたものです。
プロテクターが胴体一体成型なのは恐らくスーツの造形重視だとは思いますが、今のBANDAIさんなら換装式にして、なおかつ造形も損なわないフィギュアを作れるはずです。
無理に軟質にしなければいけなかった理由は何か。
もう一つ、今回肩と腕の接合部には「フリック式関節」というものが採用されていて、これにより二重に関節を引き出すことができます。
まぁ、あまり効果は実感しませんが・・・。
ティガ----!
ぐんぐんカットうまくできません。
降臨。
やっぱりウルトラマンの登場ポーズはこれだね。
握り拳で立たせているだけでかなり様になります。
ファイティングポーズ。これがかなり綺麗に決まるのは強い。
ファイティングポーズ取らせるだけでもう「本物」です。
宣伝写真やパッケージにも使われていた、しゃがみからのファイティングポーズ。
カラータイマーを赤にして、怪獣撃破後。
ULTRA-ACTからエフェクトを流用して、ゼぺリオン光線発射前。
今回もエフェクトいっぱい欲しかったです。
これくらいは新規解釈で付けてくれても良かったと思う。
このエフェクトはACT版のカラータイマー差込部に嵌める仕様だったので、当然今回は本来は使うことができません。
あくまで広げた両腕の手首で先端を支えてるだけなので結構不安定。
ゼぺリオン光線ポーズ。
前述のとおりの腕構造なので、このポーズにするのには結構勇気が要ります。
しかも、干渉しまくってヒヤヒヤすることに加えて、これまた前述のとおり可動範囲を妨げるので、左側手首が右肘に届かないという問題点が(かなり無理をすれば届くけど)。
そして、今回のゼぺリオン光線はなんと肘から丸ごと交換する方式。
二の腕から直接ゼぺリオン光線が射出されています。
劇中のゼぺリオン光線は二の腕から射出されているので、これはこれで非常に正しい。
リニューアル前のACTでは筒状タイプを腕に嵌め込むもので使いづらかったので、思い切って腕ごと交換はアリ。
ゼぺリオン光線!
ティガの最大必殺技、ゼぺリオン光線。
ランバルト光弾やデラシウム光流よりも威力が高く、初披露は第3話と遅め。
エフェクトを使うことで再現できます。
拡大。
これで見てもらえると分かる通り、干渉しまくってるうえに左手首が肘に届かない。
マジでなんとかならんのこれ・・・。
TDスペシャルをイメージして。
膝をついてのゼペリオン光線。
こちらもULTRA-ACTからエフェクトを流用。
ウルトラシールドです。
ULTRA-ACT時代の台座を使って。
これまたULTRA-ACTの初回特典及びパワータイプ&スカイタイプの付属品だったガッツウイング1号と一緒に。
もはや必須と言っていいくらいに相性は抜群。
今回付属品にしてほしかったレベル。
ただSHFでも参考出典はされているので、SHF版でも商品化に期待。
ガッツウイングの救出シーンもバッチリです。
スノーホワイトとも。
第49話「ウルトラの星」より、初代マンと握手!
ACTのように握手手首欲しかったなぁ。
ウルトラレプリカのスパークレンス早く欲しいです。
初代マンと。
第50話での印象的なシーン。
夜の街に、ティガ降臨!
正直夜の街での撮影はかなり頑張りましたね。
部屋暗くして撮ったり。
降臨。
有名なスチール。
この辺もボツだけどレビューで供養。
ウルトラシールド。
溜めて…………!
ゼペリオン光線!!
昼間でも。
ガッツウイング救出シーンは美しいですなぁやっぱり。
夜 × ガッツウイング1号。
第3話「悪魔の預言」より、VSキリエロイド。
「劇場版ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン」より、3戦士集結シーン。
以上、SHF真骨彫ウルトラマンティガでした。
交換用プロテクター!君の番!!
これに尽きます。
「動きあまり制限できてないうえにプロテクターに傷がつく」
う~ん、致命的な気がするんだよなぁ。
ウルトラマンのフィギュアにおいて「どれだけスムーズに光線ポーズが取れるか」が重要な評価点だということはULTRA-ACT時代に既に分かっていたことのはず。
だからこそ、ダイナの時点で既に「交換用プロテクター」なるものを付けてくれてたので。
ゼぺリオン光線ポーズ、ひいては腕を前面に突き出したポーズが取れないとあっては評価を下げざるを得ません。
ただし本体の出来はかなり良くて、「可動がオマケで付いてくる」というイメージ。
本末転倒というか、擁護になってない擁護を言わせてもらうと「腕をプロテクターに干渉するほど動かすポーズを取らせなければ素晴らしいフィギュア」です。
写真を撮ってて「やべぇこれ本物じゃん!」となった私が証人となります。
権藤さんの体型をスキャンしたとのことですが、ものの見事にそれは再現できていると思います。
というか下の画像を見てほしいのですが。
・・・・・そもそもこの画像見る限り、どうにも消費者と開発者側の認識がズレてる気がするんですよねぇ。
飾って楽しむ、という楽しみ方もありですし、なんなら私もたまにポーズ付けるくらいで基本は飾っておきたい派ではあるのですが、なんだろう、ことアクションフィギュアにおいてこれ言っちゃうのは「それはお前の楽しみ方だろう」としかならないわけなんですよね。
今回の真骨彫ティガはスタチューに近いですが、その体型再現に拘り過ぎて「大きくポーズをつけてガンガン遊びたい」という人の意見を無視している印象。
可動か造形か。
これは二者択一ではなくて、両方ある程度バランスよくできるからこその「バンダイスピリッツの技術」なんですよね。
だからこそ普段から信頼を置いているわけで。
「ウルトラアーツ初の真骨彫製法はどうだったか」と聞かれると、正直実験的要素が強く、大きく反省点が目立つ結果となったと思います。
正直、普段のウルトラアーツの時点でLSS監修で造形はいいのだから、変に背伸びして失敗!!ということは避けてほしい・・・つまり真骨彫やめろry
とまぁ、初の真骨彫ということでかなり長めの文章となってしまいました。
ここまで語るところ多いフィギュアも久しぶり。
それでは!